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東京地方裁判所 昭和30年(ワ)4124号 判決

原告 阿部茂夫

被告 東京都

主文

原告が、東京都千代田区有楽町二丁目五番地ノ一土地一段二畝一六歩のうち一〇四坪二合(別紙図面中イ、ロ、ハ、ニ、イの各点を結んだ線内の部分)につき、昭和二二年一〇月一日より期間二〇年、堅固の建物以外の建物の所有を目的とし、賃料一ケ月金二四、八四三円毎年四月一日より翌年三月三一日までを四期に分け各期の最初の月のうち被告の指定する日までにその期の賃料を支払うべき借地権を有することを確認する。

原告その余の請求を棄却する。

訴訟費用は被告の負担とする。

事実

原告訴訟代理人らは、「原告が、主文掲記の土地一〇四坪二合(以下本件土地という)につき、昭和二二年一一月六日より期間の定めなく建物の所有を目的とし、毎年四月より翌年三月までを四期に分け各期の指定日にその期の賃料を支払うべき賃貸借による借地権を有することを確認する。訴訟費用は被告の負担とする。」旨の判決を求め、その請求原因として、

(一)、原告は東京都千代田区有楽町二丁目一三番地の地上にあつた東京都交通局庁舎が戦災で焼失するやその焼跡に民衆講座の開設、戦災者診療及び復興相談に応ずるとともに喫茶店経営のための建物の建設を計画し、昭和二一年中に被告より右焼跡の一部九〇坪を賃借し、その地上に約九〇坪の建物を建築して一部を事務所その他の部分を喫茶店として使用していたところ、昭和二二年四月頃被告より右土地は交通局庁舎復旧工事のため必要ありとしてその明渡を求められたので原告は接渉の末、同坪数の換地を与えられること、建物収去による損害金として金九三八、二五五円の補償を与えられることを条件として被告の右申し出でを承諾した。

(二)、その結果、原告は右建物を右金額で被告に譲渡し、換地として被告所有に係る本件土地のうち九〇坪につき、昭和二二年一一月六日原被告間に使用期間は同年一〇月一日よりとし、賃料は一ケ月金九〇〇円、その支払方法は一年を四期に分け各期の指定日にその期の賃料を支払うこと、使用目的は戦災者・引揚者の更生相談所事務所々有、権利金として整地費名義で金四五〇、〇〇〇円を支払うことを内容とする賃貸借契約が成立した。よつて原告は右地上に木造瓦葺二階建店舗兼事務所一棟建坪八〇坪二階八〇坪を建築しこれを事務所として一部は原告自ら使用し、一部は他に賃貸してきたが、その後喫茶店開業のため八一坪二階八一坪に増改築した(以下本件建物という)。

(三)、その後昭和二三年四月一日より坪数が別紙図面記載のとおり一〇四坪二合に増坪され、それに伴い賃料も一ケ月金一、四一二円権利金も金五二一、〇〇〇円にそれぞれ増額となり、昭和二四年六月九日付で使用目的は通常建物所有に変更され、原告は右権利金を昭和二五年四月一日より昭和二七年三月三一日までの間に支払を了し、昭和二六年六月一二日右建物につき保存登記を経由した。賃料はその後改訂され、昭和二六年には金六、六九〇円、昭和二八年には一三、五七三円、昭和三〇年九月以降金二四、八四三円となつた。

(四)、原告が本件土地を賃借するに至つた経緯は以上のとおりであるから、本件土地賃貸借契約は借地法の適用ある賃貸借であつて、原告は本件土地につき請求の趣旨記載の如き借地権を有すべきところ、被告はこれを争うので本訴に及んだ。

と述べ、被告の抗弁事実中、本件建物につき昭和三〇年九月八日訴外西正子のため所有権移転登記がなされたこと、原告が租税滞納処分により昭和二九年八月二〇日右建物につき被告より差押がなされたこと、被告よりその主張の如き昭和三一年四月六日付及び同年一〇月二〇日付の各内容証明郵便が原告に到達したことは認めるが、その余の事実は否認する。

被告主張の契約条項は毎年被告において一方的に作成して原告に送付して来る承認書に記載されているもので右条項中原告主張以外のものは例文であつて、当事者を拘束するものではない。すなわち被告は原告より権利金を徴収し、一般賃料の値上げに応じて本件土地の賃料を増額した。しかも原告は交通局庁舎焼跡を整地するために約三八、〇〇〇円の自費を投じ、本件土地上に本件建物を建築するに際しては本件土地を含む前記有楽町二丁目五番地の二四二坪の土地を右建物の敷地の外、一時的飯場として使用することにつき、都知事の承諾を得、同月二六日戦災復興院に対し、建築許可及び資材割当の申請をなしたところ、翌二三年七月二八日その許可を受けたので約一、八〇〇、〇〇〇円の費用を投じて本件建物を建築した。被告は原告がこのような建物を建築することを知りながら本件土地のうち九〇坪を賃貸し、更に本件建物が既に完成し、原告がその一部を事務所として他に賃貸していることを知り乍ら前記のとおり坪数を増加し、賃料の値上げをし、権利金を徴収し、使用目的を変更したのであつて、これらの事実に徴すれば本件土地の借地権が一時使用のためのものでないことは明らかである。

また、本件土地は公用物ではない。すなわち公用物は公物の一種であるが、物が公物であるというためには物が公物としての実体を有するものであること、すなわち行政主体が物の効用を直接に、或いは行政客体の一般的需要若しくは行政主体の事務的需要の充足に役立たしめること、且つ行政主体の公物設定の意思表示が必要である。而して公物は原則として営造物の構成部分として存在するものであるから、行政主体の公物設定の意思表示は個々の物について別個になされるものではなく、営造物設定の意思表示として一体的設備を構成するものについて包括的になさるべきものである。而して営造物とは特定の行政目的のため一般行政客体の使用に供せられる設備の一体をいうものと解すべきところ、本件土地上にはもと東京都交通局共済組合の事務所兼食堂がありこれが戦災で焼失したのであるが、右共済組合は「東京都」という行政主体とは法律上別個の存在であつて行政主体たる性格を有しない団体である。しかも右建物は「東京都交通局員」という一定の行政客体の使用に供せられるものであつても東京都の住民の如き一般行政客体の使用に供せられるものではない。また、昭和一九年九月三〇日現在の東京都財産表には本件土地を含む東京都千代田区有楽町二丁目五番地の土地上には交通局有楽町材料倉庫、体育道場が建築せられていた旨の記載はあるが、右共済組合事務所兼食堂が存在していた旨の記載がない。もし被告において右事務所兼食堂を公物(営造物)と目していたならばこれを当然他の建物と同様に右財産表に記載していた筈である。従つて、右事務所兼食堂は公物(営造物)ではなく、その敷地であつた本件土地もまた営造物の構成部分たる公物の実体を有しないものといわなければならない。しかも、戦災でこれらの建物焼失後は前記有楽町二丁目五番地の土地のうち本件土地を除く四〇坪を交通局営繕作業所の敷地として使用(後に五一、二五坪に増加)した以外には右土地上に公用物と目される建物を建築し、以つて右土地を現実に被告の公用に供し、又は供しようとした事実はない。更に昭和二二年一一月六日の契約当時も被告において右土地を公用に供していなかつた事実、また、右土地が登記簿上「電気局敷地」と記載され土地台帳法上「雑種地」に該当することからいつても、右土地は東京都有財産規則(昭和一九年東京都規則第四号)第二条にいう「雑種財産」に属し、従つて公物の実体を有しないものといわなければならない。そこで被告が本件土地につき公物設定の意思表示をしたかどうかをみると、本件土地を含む前記有楽町二丁目五番地の土地が登記簿上「電気局敷地」と記載され、また、昭和二二年九月三〇日現在の東京都財産表に「交通局軌道事業公用地、出張所派出所敷地、事務室敷地」、昭和二五年九月三〇日現在の東京都財産表に「電車事業、公用地、庁舎敷地」と各々記載されているけれども右の如き記載は一般的、抽象的であつてなんら具体性がない。公物設定の意思表示ありというためには、行政主体において如何なる目的を以つて、如何なる構造施設の営造物又は公用施設を建築するかを決定し、その営造物又は公用施設の敷地と決定して始めてその敷地が公物の性質を取得するものと解すべきである。従つて前記の如き一般的、抽象的な記載のみでは未だ本件土地につき、被告において公物設定の意思表示をなしたものと解することはできない。

仮りに、本件土地が公物であつたとしてもこれを原告に賃貸することによつてその公用が廃止され公物の性格を失なつたものである。すなわち公用物は公物の主体がその物を直接公の目的に供用することによつて失われるのを原則とするが、その方法は道路河川のように特に公示を要件とするものは格別、一般には公用廃止の事実行為のみでこれをなし得るところ、東京都交通局においては従来公用廃止に特別の手続を要せず、交通局長の専決による売却処分又は賃貸等の事実上の行為によつて公用廃止がなされているのであつて、本件契約当時本件土地が公物であつたとしても右契約によりこれを原告に賃貸したことによつて本件土地はその公用が廃止され公物の性質を失なつたものというべきである。

仮りに本件土地が公物であるとしても、その上に私法上の賃貸借関係は有効に成立し得るものである。すなわち交通局の電車、自動車事業は収益を目的とする営利事業であるから本件土地の如き財産を賃貸し収益を図つたとしても事業の目的に反することはない。たとい交通局が営利事業を営むものでなくても本件契約当時東京都においては「予算執行の緊急措置について」の訓令によつて「国の物価体系の急激なる推移に伴い、東京都の財政も亦未曾有の難関に逢着したため、これが対策の一環として収入部面の新規開拓を積極的に考慮し、差当り必要のない土地、建物、船舶其の他の財産で処分可能のものはこれが資金化の方法を考慮することの方針」が樹立せられ、その方針の下に被告がその行政活動の財源を得るために本件土地を賃貸し、権利金、賃料を徴収したからといつてなんら公共団体としての性格に反することはなく、本件土地が公物であるからといつて、その上に賃貸借が成立し得ないものとすることはできない。

而して東京都有財産規則第六条によれば、都有財産の貸付をする場合は一般競争入札に付するのを原則とし、これによらないで貸付をする場合は一年以内の期間を以つて一時限り貸し付けるときと規定されているが、右規則は一般都民を覊束するものではなく、また、地方自治法第二条第十一、十二項の規定は行政上の規則であつて、私法関係を規律したものではない。しかも昭和二二年一一月当時本件土地及びこれに類する土地の賃貸は交通局長の専決により都知事の名によつて処理せられていたもので、都知事自身の決裁、都議会の同意等の特別の手続を必要としなかつたものである。尤も昭和二三年七月二〇日法律第一七九号を以て地方自治法の一部が改正されその第二一三条第二項において条例で定める特に重要な財産又は営造物の処分もしくは十年を超える独占的な使用許可については住民の投票で定める旨の規定が設けられ、また、右改正に伴い、昭和二四年五月一九日東京都条例第五四号を以つて「議会の議決を経又は住民の投票に付すべき財産及び営造物並びに議会の議決を経べき契約に関する条例」が制定され、その第三条によつて本件土地の如き軌道事業及び自動車交通事業施設の賃貸については住民投票に付すべきことになつたが、右地方自治法の規定並びに右条例はいづれも本件契約締結後制定されたものであるから本件にはその適用なく、しかも東京都においては同条に掲げる各施設の管理、処分について未だ嘗つて住民投票に付した事案は一件もない。而して前記昭和二三年法律第一七九号附則第三条によつて昭和三三年七月三一日以後の地方公共団体の財産の使用に対する制限が加えられているが、右制限は法律又は政令に特別の定めある場合は除かるべきところ、本件土地の借地権は借地法第一、二条の適用あるものであるから当然右制限は排除さるべきものである。また、地方公営企業法第三三条但書に基ずき、昭和二七年東京都条例第八六号を以つて制定された「知事の承認を受けて取得及び処分をなすべき東京都公営企業の資産に関する条例」は公営企業の資産の取得及び処分について規定したもので賃貸についてはなんら制限がない。仮りに被告主張の如く本件契約当時一件百万円以上の資産の賃貸につき都知事自身の決裁が必要であつたとしても本件土地を含む前記有楽町二丁目五番地の土地の当時の価格は金四五〇、九三六円にすぎない。よつて地方公営企業法第三三条本文、第九条によつて本件土地の賃貸は交通局長の専決に属していたものというべきである。

以上のとおりであるから、本件土地が公物であるとしてもその賃貸は適法であり、都知事自身の決裁、住民投票等の手続きを経ていなくても前記交通局長のなした専決処分の効力に影響ないものといわなければならない。

また、原告は本件建物を訴外西正子に売り渡したことはない。すなわち昭和三〇年九月八日原告は右訴外人より金三、五〇〇、〇〇〇円を弁済期昭和三一年九月七日の約で借り受け、その担保として本件建物につき抵当権設定登記並びに所有権移転請求保全の仮登記をなすことを約したところ、右訴外人の夫欽一郎は右約旨に反し原告の委任状を利用し、所有権移転の本登記をなしたもので原告は直ちに右訴外人に右登記の抹消を請求した結果、昭和三一年四月三〇日、右所有権移転登記を抹消し、当初の約定どおり抵当権設定登記並びに所有権移転請求権保全の仮登記を経たものである。

従つて原告は本件土地を右訴外人に転貸したことはなく、これを理由とする被告の本件土地賃貸借契約の解除はその効力を生じない。また、被告は原告が本件建物につき租税滞納処分により被告から差押えを受けたことが特約による契約解除事由に該当するものとして契約を解除したが、本件土地は普通建物の所有を目的として賃借したものであるからその期間は借地法上三〇年である。当事者のかかる借地関係を成立せしむべき契約に対し、契約書に右の如き特約が記載されていてもそれは例文であつて当事者を拘束するものではない。仮りにそうでないとしても右特約は借地法第一一条にいう借地権者に不利な条件に該当するから右特約はこれを定めなかつたものと看做さるべきである。そうでないとしても右特約に定めた強制執行とは民事上の請求に関するものであつて滞納処分の如き行政処分はこれを含まないものと解すべきである。なお、そうでないとしても、原告は昭和三二年四月一九日右滞納租税を納付し差押えを解かれたものであつて、このような本件土地賃貸借契約の存続に影響の少い事柄をとらえて契約解除原因とすることは信義則違反であり、権利の濫用である。

また、被告は本件土地は原告が社会的事業を営むからというので貸し付けたもので、なんら公衆と関係のない喫茶店営業のために貸し付けたのではないというが、原告は本件土地上に建物を建築し、民衆講座の開設、戦災者治療、復興相談等の社会的事業を営むとともに喫茶店営業を営む目的で本件土地を賃借したのであつてなんら公衆と関係のない事業のために賃借したのではない。たゞ戦禍の回復するに伴い右の如き社会的事業の必要性が漸次減少した反面、原告の喫茶店営業が漸次発展してきたため公共的性格が稀薄になつただけで絶無になつたわけではない。

と述べ、立証として甲第一号証、第二号証の一、二、第三、四号証第五号証の一、二、第六号証、第七乃至第九号証の各一、二、第一〇号証、第一一号証の一乃至七、第一二号証、第一三号証の一、二第一四乃至第一六号証、第一七号証の一、二、第一八乃至第二七号証を提出し、証人石川助次郎、同佐久間辰吉、同西欽一郎の各証言並びに原告本人尋問の結果を援用し、乙号各証の成立はいずれも認めると述べた。

被告訴訟代理人は「原告の請求を棄却する。」旨の判決を求め、答弁として、原告主張事実中、原告が昭和二一年東京都交通局庁舎焼跡に戦災者診療、復興相談、民衆講座開設の目的に使用するという条件で約九〇坪の建物を建築し、これを事務所として使用していたこと、被告が原告主張の如き事情から右土地の明渡しを求めた結果、被告において右建物を原告主張の金額で買い受け、昭和二二年一一月六日換地として被告所有の本件土地のうち九〇坪を原告に貸し付けたこと、昭和二三年四月一日より貸付坪数が一〇四坪二合に増坪されたこと、整地費名義で原告より金五二一、〇〇〇円の金員を受領したこと、使用料がその後原告主張のとおりに改訂せられたこと、本件土地が戦災前交通局共済組合事務所兼食堂の敷地であつたこと、右地上に原告がその主張の如き建物を建築し、その主張の日に保全登記を経由したことは認めるが、その余の事実は争う。

本件土地は戦災前被告において交通局の事業用貨物自動事々庫、工事用材料格納庫、体育道場及び右共済組合の事務所兼食堂の敷地として使用していたが、戦災でこれらの建物が焼失し、その他の施設についても大きな被害を受け、交通局の事業は縮少されていたので、本件土地も当時直ちに事業に使用する計画も立てられなかつた関係もあり、原告からこれを戦災者、引揚者の更生相談所建築のために使用したいとの申出があつたので被告もその使用目的が当時としては社会事業として最も重要性があることを諒としてこれを貸し付けることとしたが、本件土地は登記簿上も「電気局敷地」と表示され公用財産に属していたため、東京都有財産規則第二条、第三条本文の規定により原則として貸し付けることはできない財産であるが、前記の如き事情もあつたので同条但書、第六条第三号の規定に基いて、これを貸し付けることとし、昭和二二年一一月六日原被告間において、本件土地のうち九〇坪につき、使用期間は昭和二二年一〇月一日より翌昭和二三年三月三一日まで但し期間満了一ケ月前までに願出があるときは、右期間の延長を認めることができる。使用料は一ケ月金九〇〇円、その支払いについては一ケ年を四期に分け、各期の最初の月の指定する日までにその期の使用料を支払うこと、使用目的は前記更生相談所のための一時使用とし右以外の目的に使用できないこと、使用土地は被告の承諾なくしてこれを第三者に転貸し又はその使用権を譲渡すことはできないこと、原告が使用土地の上に築造する構築物は木造とし使用期間の満了又はこの承認が取消された場合、何時でも即時容易に撤去することができる程度の臨時簡易な構造設備でなければならないこと、原告において、契約条項に違背し、又は他の債務に関し仮差押、仮処分、強制執行もしくは破産の申立を承けたときは被告は直ちに契約を取り消す場合があること等を内容とする契約が成立したのであつて、右契約は民法上の賃貸借ではなく特殊の貸借契約で借地法の適用がなく一時使用のためのものである。而して、昭和二三年四月一日より使用期間が一年毎に更新されてきたものである。

地方自治法第二一三条第二項の規定によれば、普通地方公共団体が本件土地の如き公用財産につき期間一〇年を超える独占的な使用を許す場合には当該普通地方公共団体の選挙人の投票において、過半数の同意を得るか、又は議会において出席議員の三分の二以上の同意を得ることが必要であり、また、地方財政法第八条に地方公共団体の財産は条例又は議会の議決による場合を除く外適正な対価なくして貸し付けることはできないとされ、また、本件契約当時交通局長の専決により貸借し得る事案は一件百万円以下の資産に限られており、一件百万円以上の資産の貸借は都知事自身の決裁を必要とし、また、東京都有財産規則第六条に定める一般競争入札に付することなく随意契約によつて本件土地を賃貸したことからいつても本件土地の貸借は一時使用のためのものであるといわなければならない。

また、被告は本件土地の公用を廃止したことはない。

仮りに右主張がいづれも理由なしとしても、原告は昭和三〇年九月七日本件建物を訴外西正子に譲渡し、以つてその敷地である本件土地を被告に無断で右訴外人に転貸した。よつて被告は原告の右無断転貸を理由として昭和三一年四月七日付内容証明郵便を以つて契約解除の意思表示をなし、右書面は同月九日原告に到達した。よつて本件契約は同日限り解除されたものである。

仮りに右主張が理由なしとしても、原告は昭和二九年八月二〇日租税滞納処分により本件建物を被告から差し押えられた。右事実は前記特約による契約解除事由に該当するので、被告は昭和三一年一〇月二日付内容証明郵便を以つて契約解除の意思表示をなし、右書面は翌三日原告に到達した。よつて本件契約は同日限り解除されたものである。

と述べ、立証として、乙第一号証、第二号証の一、二、第三乃至第五号証、第六乃至第一一号証の各一、二、第一二号証の一乃至四、第一三、一四号証の各一、二、第一五号証を提出し、証人赤田準三同石川助次郎の各証言を援用し、甲第八、九号証の各一の成立は不知、同号各証の各二の郵便官署作成部分の成立は認めるが、その余の部分の成立は不知、甲第二七号証の原本の存在並びに成立及びその余の甲号各証の成立はいづれも認める。と述べた。

理由

昭和二一年原告が東京都交通局庁舎焼跡に民衆講座開設、戦災者診療、復興相談のために使用する目的で約九〇坪の建物を建築しこれを事務所として使用していたこと、被告が右焼跡に交通局庁舎の復旧工事をなすため原告にその明渡を求めた結果被告において右建物を金九三八、二五五円で買い受け、昭和二二年一一月六日同年一〇月一日を始期とし換地として本件土地のうち九〇坪を原告に貸し付けたこと、昭和二三年四月一日より右貸付坪数が一〇四坪二合に増坪されたこと、被告が原告より敷地費名義で金五二一、〇〇〇円を受領したこと、原告が本件土地上に本件建物を建築し昭和二六年六月一二日保存登記を経由したことは当事者間に争いがない。

被告は本件土地は公用財産であつて、原告に対するその貸付は東京都有財産規則(昭和一九年東京都規則第四号)第二条、第三条、第六条第三号の規定に基く一時使用のための特殊の貸借契約によるものであると主張するので、先づ本件土地が公用財産に属するかどうかを考えてみると、同規則第二条には「財産ヲ分チテ左ノ三種トス、一、公用財産都ニ於テ直接公用若ハ公共ノ用ニ供シ又ハ供スルモノト決定シタルモノ、二、収益財産基本財産ニ属スルモノ、三、雑種財産前各号ニ属セザルモノ」と規定する。而して本件土地が戦災前交通局共済組合の事務所兼食堂の敷地であつたことは当事者間に争いなく、成立に争いのない甲第二三乃至第二六号証、乙第六乃至八号証の各一、二によると本件土地を含む東京都千代田区有楽町二丁目五番地の土地は昭和一九、二〇、二二、二五年度の被告の財産表上交通局軌道事業出張所派出所敷地として公用地と表示され、右地上にはもと交通局の軌道事業用材料倉庫、体育道場が存在していたこと、昭和二二年九月三〇日までには右土他のうち四〇坪が交通局軌道事業用営繕作業所の敷地として使用され、昭和二五年九月三〇日までには右敷地が五一、二五坪に増加したことが認められるのであつて、右認定事実によると昭和二二年一一月九日の本件土地貸借契約当時本件土地を含む前記有楽町二丁目五番地の土地は交通局の軌道事業用施設の敷地として直接被告の公用に供されていた公用財産に属するものであるというべきで、右土地の一部である本件土地上に交通局共済組合(同組合の団体としての性格はともかくとして)の建物が存在していたからといつてひとり本件土地部分のみが他の部分と別異の性格を有するに至るものではないといわなければならない。而して成立に争いのない甲第一号証によれば本件土地を含む前記有楽町二丁目五番地の土地は登記簿上「電気局敷地」と表示され、地目は特に記載されていないけれども物が公用物なりや否やはそれが供用される目的によつて定められるものであつて、原告主張の如く地目が雑種地であるからといつて東京都有財産規則にいう雑種財産であるということはできない。

原告は、公用物は公物の一種であり公物は原則として営造物の構成部分として存在し、営造物とは特定の行政目的のため一般行政客体の使用に供せられる設備の一体と解すべきで、交通局共済組合の事務所兼食堂は一般行政客体の使用に供せられるものではないからその敷地であつた本件土地も営造物の構成部分としての公物の性格を有しないと主張するが、営造物なる観念は実定法上も学問上も必ずしも一定しないところであり、且つ、本件においては本件土地が東京都有財産規則第二条にいう公用財産に属するかどうかが問題なのであつて所謂営造物を構成するものであるかどうかを判断することは必ずしも必要ではない。右共済組合の事務所兼食堂及び本件土地が一般大衆の用に供されるものでなくその故に本件土地が原告のいう意味の営造物の構成部分でないということはいえても右規則第二条にいう公用財産のいづれにも属さないということにはならない。

また、原告は本件土地が公用物であつたとしても被告がこれを原告に賃貸することによつてその公用が廃止されたものであると主張するが、成立に争いのない乙第一二号証の一、証人石川助次郎の証言を綜合すると、被告が本件土地を原告に貸し付けるに至つたのは戦災という特異の事実によつてその地上の建物が焼失し、被告としては戦後の混乱により早急に復旧工事の計画も立たず、且つ、被告交通局の財政状態も極めて逼迫していたことによるものであること、成立に争いのない乙第一四号証の一、二によると当時東京都においては公用財産の公用を廃止した場合の財産引継様式が定められていたことがそれぞれ認められるのであつて、右事実に前認定のとおり昭和二五年九月三〇日現在においても本件土地が公用地とされ、前記有楽町二丁目五番地の土地のうち五一、二五坪が交通局営繕作業所の敷地として使用されている事実を綜合すれば、公用物の公用廃止は行政主体において事実上その使用を廃止することによつてなされるものであつても、被告において本件土地を使用しなかつたのが前記の如き特別の事情に基くものであり、且つ、右の如き公用廃止による財産の処理手続を履践したことの立証なき本件土地については未だその公用が廃止せられたものということはできない。尤も前掲甲第二五、二六号証、成立に争いのない乙第一二号証の四を綜合すると現に公用に供さない財産として被告の東京都有財産管理運用委員会においてその処分を決議した財産についてもなお依然として被告の財産上公用地として取扱われている事例も認められるけれども、右委員会は東京都財産管理運用委員会規程(昭和二二年東京都訓令甲第一六四号)第一条の規定によれば公用財産の公用廃止を決定する権限を有するものではないから右処分決議によつて直ちに公用廃止の決定がなされたものと解することはできない。従つて右のような事例があつたからといつて被告の財産上使用されている公用地なる語が公用財産でない土地をも意味するものであるとはいえない。また、右財産上公用地と記載されている土地で現に公用財産に属さないものがないとは或は断定し得ないとしても、そのような異例な事情を立証する資料のないことは前段説明のとおりである。

以上のとおりであるから本件土地は東京都有財産規則第二条に規定する公用財産に属し、公用財産としてその貸付がなされたものというべきである。

そこで本件土地の貸付が被告主張の如く一時使用のため特殊の貸借契約であるかどうかを判断するに、成立に争いのない甲第二号証の一、二、第五号証の一、二、第六号証、第七号証の一、二、第一一号証の一乃至四、第一四号証、乙第一号証、第五号証、証人石川助次郎、同佐久間辰吉、同赤田準三、の各証言及び原告本人の供述を綜合すると、原告は交通局庁舎焼跡を約金三八、〇〇〇円の費用を投じて整地し、被告より右庁舎地下室を賃借しその上に木造二階建々物を建築して主として戦災者、引揚者のための更生相談の仕事を担当してきたが被告より昭和二二年四月頃交通局庁舎復旧工事のため右焼跡の明渡を求められたのでその換地を請求したところ、同年一一月六日、被告は本件土地のうち九〇坪を原告に貸し付けることゝし、原告は被告に整地費名義で坪当り金五、〇〇〇円を支払うことを約し、被告より右条件の記載された貸付の承認書が交付され原告においてその請書を提出したこと、同月二六日、原告は右地上に木造スレート葺二階建事務所建坪八〇坪二階八〇坪を建築すべく被告より別途前記有楽町二丁目五番地の土地のうち本件土地を含む二四二坪の一時使用承諾を得た上被告にその建築許可を申請し、翌昭和二三年七月二八日右許可と同時に戦災復興院より資材の割当を受けて本件土地のうち前記九〇坪の地上に約金一、八〇〇、〇〇〇円の資金でその申請の如き建物を建築して右九〇坪の貸付を受けたこと、原告の右建築資材入手については被告の交通局からも種々の援助を与えたことその後原告は右建物の一部を喫茶店営業のため増改築することゝし、同年一一月一五日建設院より資材の割当を受け、更に同月二四日被告の増築許可を受けて右建物を八一坪、二階八一坪に増築したこと、その間通路として貸付坪数が増加し一〇四坪二合となつたこと、昭和二四年六月九日付で本件土地の使用目的が事務室敷地に変更され当初の貸付承認以後数次にわたり原告より本件土地の継続使用願が出され、昭和二三年四月一日より一年毎に使用期間が更新され昭和三一年三月三一日まで右の如き使用関係が継続されてきたことが認められる。

そこで按ずるに、東京都有財産規則第三条は「公用財産ハ之ヲ処分シ又ハ貸付ケルコトヲ得ズ但シ其ノ用途又ハ目的ヲ妨ゲザル限度ニ於テ其ノ使用又ハ収益ヲ為サシムルコトヲ得」と規定し、同規則第六条は「財産ノ買入売却又ハ貸付ヲ為ス場合ニ於テハ一般競争入札ニ付スベシ但シ左ノ各号ノ一ニ該当スル場合ニ於テハ指名入札又ハ随意契約ニ依ルコトヲ得………三、一年以内ノ期間ヲ以テ一時限リ貸付スルトキ………」と規定している。すなわち都有公用財産はその用途又ハ目的を妨げない限度に於ては、これを一般に貸付(使用貸借、賃貸借)することもできるものであつて、右規則第六条の規定は右場合にも適用されるものであることは同規則全体の趣旨からも容易に理解され、被告も貸付の方法、限度、その後の法規の変遷等を別にすれば、昭和二二年当時右規則の解釈が右のとおりであることに異意を述べていない。したがつて、一般競争入札に付さずに指名入札又は随意契約によつて貸付する場合はその期間は一年以内の一時なものとすることとなり、本件土地が右規則に所謂公用財産に属すること及びその原告への貸付が一般競争入札によるものでなかつたことは前認定のとおりであるから、本件土地の貸借は右規則によれば一時使用のためになされたものであるということが一応推論される。しかしながら前掲証人石川助次郎の証言及び原告本人の供述によると本件土地の貸借に際し原告より被告に整地費名義で坪当り金五、〇〇〇円を支払うことを約したけれども被告において実際に整地した事実なく右金員は当時逼迫していた交通局の財政状態を緩和するため徴収されたものであつてもとより整地を目的としたものではなく、その実質は本件土地貸付の権利金に相当するものであつたことが認められ正に昭和二二年当時の前記規則第一六条、第一七条に定める権利金(当時の土地価格が不明であるからそれとの比率は明でないが)に相当するものと考えられる。而して定期に原告より被告に支払われる使用料名義の金員が原告主張のとおりに改訂値上げされてきたことは当事者間に争いのないところであつて、前認定のとおり被告において原告が本件土地上にその構造上長期間存続すべき建物を建築することを知りながらこれを許可し、その建築工事に必要な土地使用建築資材の入手等についても便宜を与え、更に右建物の増築についても許可を与え爾後約十年にわたる原告の本件土地使用を異議なく承認してきたこと等の事実に徴すると、本件土地の貸付条件が一時使用のためとされ、その使用期間が一年毎に使用承認が繰り返されてきたものであつても右は東京都有財産規則に定める所定の手続を履践しないで本件土地の貸付がなされたゝめ、その事務処理上の形式を整えるためのものにすぎず、本件土地の原告への貸付が右形式に沿つた内容のものとはいえないものというべきである。原告もまた、一年毎に限られた一時使用を了承して、原告のみ危険負担と打算において前記のような建築をしたものとは到底考えられず、むしろ原被告間で相当長期の貸付を約していたものとするのが自然であるといわなければならない。そうだとすれば本件土地の貸付は前記規則に定める正規の方法たる一般競争入札の方法によらないでなされた堅固の建物以外の建物の所有を目的とする一般私法上の賃貸借であつて一時使用のためのものでないと解するのが相当である。もとより本件土地が公用財産である以上その貸付はこれを規制する公共団体としての被告の法規に従うべきことは当然であるが、都有財産規則第六条は、同第三条との関係からみても行政執行機関の権限を定めたものでなく貸付契約締結の方法を定めたものに過ぎないと解されるので、同規定に関する事項等は直接住民の権利義務に関する事項ではなく単に行政内部の取扱方法たる性質を有するにすぎず、右規則の定める方法に違反してなされた本件土地の貸付行為もその効力に影響ないものというべきである。たゞ東京都有財産規則第一四条第二号によれば堅固の建物以外の建物の所有を目的とする都有土地の貸付期間は二〇年とされており、これは執行機関の権限の範囲を定めたものと解されるから、本件土地の貸付が一般競争入札に付されたとしてもその期間は二〇年を超え得ず、これを超えるものは無効とする外ないのであつて、本件土地貸付について期間の定めが特になされたことの主張、立証のない本件では、その存続期間もまた後の増坪分とともに昭和二二年一〇月一日から二〇年というべきである。この意味で、右規則の規定は一般私法上の効力に優先するものということになる。

次に本件土地の当初の貸付及び、その後の追加増坪貸付が被告の交通局長が都知事の名において専決処分でなしたことは当事者間に争がなく、右は一定価格以下のものであれば同交通局長に正当な権限のあるものであることは被告の自認するところである(一般競争入札によるか否かは別として)。ところが被告は本件土地貸付当初の頃の右権限に関する法規上の根拠も時価も立証しないので、右争のない交通局長の処分行為の態様から、右は権限の範囲内のものであると推定する外なく、また、右のような権限の規則は執行機関内部における事務処理委任の範囲を定めるもので、仮に内部委任の範囲を越えたものとしても、都知事の名においてなされた本件土地貸付が無権限の者によつてなされたものとはいえない。

而して右東京都有財産規則は昭和二三年一月廃止され新たに東京都都有財産条例(昭和二三年東京都条例第三号)が制定され公用財産の貸付については右規則と同様の制限がなされているがその附則第三四条により右条例施行の際現に契約中のものについてはなお従前の例によるとされ、また昭和二九年三月右条例が全面的に改正され都有財産条例(昭和二九年東京都条例第一七号)が制定されその第一二条により公用財産の貸付は原則として許されなくなつたがその附則第二項により右条例施行前に改正前の条例に基いてなされた都有財産の貸付は改正後の条例の規定によつてしたものとみなされたので、いづれも本件契約に影響なく、而して昭和二三年法律第一七九号を以て地方自治法(昭和二二年法律第六七号)の一部が改正されその第二一三条第二項において被告主張のとおりの規定が設けられたけれども同改正法附則第三条は「法律又は政令に特別の定がある場合を除く外、この法律施行の際現になされている地方公共団体の財産又は営造物の使用の許可で改正後の地方自治法第二一三条第二項の規定に基く条例により定められた独占的な使用の許可に該当するものは、この法律施行の日から十年以内に夫々改正後の同条の規定による手続を経て必要な同意を得なければ、この法律施行の日から十年を経過したときは、将来に向つてその効力を失う。」と規定しており、昭和二四年東京都条例第五四号を以て制定された「議会の議決を経又は住民の投票に付すべき財産及び営造物並びに議会の議決を経べき契約に関する条例」は本件のような右改正附則に定める場合には適用されるものではないと解されるので結局本件土地の賃貸借について昭和三三年七月三一日までの間に所定の手続を経べきであるか否かは別として少くとも本件口頭弁論終結時においては原告は主文掲記の如き借地権を有するものといわなければならない。

また、被告は原告が本件建物を訴外西正子に売渡したことによつて本件土地を同訴外人に無断転貸したと主張するが、成立に争いのない甲第一五号証、証人佐久間辰吉、同西欽一郎の各証言及び原告本人の供述を綜合すると、昭和三〇年九月八日原告は訴外西正子から選挙資金として金三、五〇〇、〇〇〇円を借り受け、その担保として本件建物につき抵当権を設定することを約したところ右訴外人の夫訴外西欽一郎は原告の意に反し、その委任状、印鑑証明書を利用して本件建物につき訴外西正子のために所有権移転登記を経たが、昭和三一年五月十八日右登記は錯誤に基くものとして抹消された事実が認められ右認定に反する証拠なく結局原告が本件建物を訴外西正子に売渡した事実は認められないのであつて被告の右抗弁は理由がない。

また、原告が租税滞納処分により被告から昭和二九年八月二〇日本件建物を差押えられたこと、これを理由とする昭和三一年一〇月二〇日付の本件賃貸借契約解除通知が原告に到達したこと及び本件土地貸付契約書には被告主張の特約条項が記載されていたことは、当事者間に争いがないが、成立に争いのない甲第五号証の一、二によれば、被告は自ら本件建物につき右処分による差押をなしながらその後本件訴係属中の昭和三〇年八月一七日原告に使用承認書を交付し、本件土地の継続使用に異議を述べたこともなくしかも翌一八日使用料の増額を請求している事実が認められる。このような事実関係の下において被告が右差押の事実をたやすく看過していたとすれば、被告自身が前記特約条項を例文と解している証左であり、これを知りながら本件訴の提起後一年余を経た前記日時に、にわかに右差押をとがめだてして特約条項を発動しようとするのは前認定の継続的契約関係においては著しく信義に反するものであつて、そのいづれにしても被告の本件契約解除はその効力を有しないものといわなければならない。

以上のとおり被告の抗弁はいずれも理由がなく、原告の本訴請求は主文掲記の限度において理由があるからこれを認容し、その余は失当として棄却すべく、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条、第九二条を各適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 畔上英治 三淵嘉子 新谷一信)

別紙附属図面〈省略〉

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